MENU

【メンテナンス不要ってホント?】ジンカリウム鋼板屋根のメリット・デメリット&ガルバリウム鋼板との違い

「ジンカリウム鋼板って“塗装不要”って本当?」
「ガルバリウム鋼板とはどう違うの?

新築・葺き替え検討中の方なら誰もが抱く疑問です。

実は、ジンカリウム鋼板ガルバリウム鋼板も、めっきの成分(Al55%・Zn43.5%・Si1.5%)やJIS基準は同じ 。
違いは商標と、一般的に「ジンカリウム鋼板」と呼ぶ際には多くの場合、石粒コーティング付き製品を指す点にあります。

石粒付きジンカリウム鋼板は、自然石の粒を高温焼成で固着させた表面層が

  • 紫外線・摩耗に強く
  • 色あせしにくく
  • 優れた断熱・防音効果

を発揮。結果として“塗装不要”の長寿命屋根材として注目を集めています 。

しかし

  • 本当にメンテナンスは不要?
  • 施工時に気をつけるポイントは?
  • 初期コストは高額すぎない?

など、不安も多いはず。

📝 この記事でわかること

✅ ジンカリウム鋼板(石粒付)の正体と「ガルバリウム鋼板」との商標差
✅ メンテナンス不要を支える科学的メカニズム
✅ 導入前に知るべき施工の注意点
✅ ガルバリウム鋼板とのコスト・性能比較
✅ どんな屋根形状・気候に向いているかの判断基準


目次

ジンカリウム鋼板 vs ガルバリウム鋼板――商標の違いと呼称の実態

  • 組成は同一(Al55%/Zn43.5%/Si1.5%)で、耐食性・耐候性の基本性能はほぼ同じ 。
  • 商標名の違い
    • ZINCALUME®(オーストラリアBlueScope社)
    • Galvalume®/ガルバリウム鋼板®(アメリカBIEC社・日本製鉄)
  • 呼び方の実態
    • 一般には「ジンカリウム鋼板=石粒コーティング付き製品」を指し、
    • 「ガルバリウム鋼板=石粒なしの素地めっき製品」をイメージするケースが多い。
  • 石粒コーティングの有無が大きな差
    • 石粒付きは、塗膜代わりに紫外線・摩耗から保護 。
    • 素地めっきのみのガルバリウム鋼板は、再塗装サイクル(10~15年)が一般的 。

石粒付きジンカリウム鋼板のメリット

メンテナンスコスト大幅削減
ほぼ塗装不要の長寿命
30年以上の無塗装保証で再塗装費用を大幅削減
高耐食・耐候性
めっき層の自己修復機能で傷から腐食を防止
軽量で耐震性能向上
従来の1/3の軽さで建物の耐震性を強化
断熱・防音効果
石粒構造で冷暖房効率向上と雨音を30%軽減
防火性・風圧耐力
不燃素材で火災・台風にも強い安心設計


石粒付きを選ぶ最大の理由は「メンテナンスコストの大幅削減」です。
以下に代表的なメリットを詳しく解説します。

1) ほぼ塗装不要の長寿命
石粒コーティングは、自然石を焼き付けガラス質化した層が紫外線による色褪せや摩耗を防止。
多くの製品で30年以上の無塗装保証を提供しており、20年目以降の再塗装費用(30~50万円)を節約できます 。

2) 高耐食・耐候性
亜鉛やアルミの合金めっき層には「自己修復機能」があり、小さな傷でも大気中の酸素反応で酸化亜鉛皮膜が再生成。
結果、海岸部や酸性雨地域でも鋼板の腐食を長期にわたって防ぎます 。

3) 軽量で耐震性能向上
一般的な日本瓦が45–60kg/㎡なのに対し、石粒付き鋼板は約18–22kg/㎡。
屋根重量を1/3以下に抑えることで、地震時の慣性力を低減し、建物全体の耐震性能を高めます 。

4) 断熱・防音効果
石粒の凸凹形状と色選定(遮熱タイプ)で、外気温の影響を軽減し、室内の冷暖房効率を向上。
また、雨天時の打撃音を約20–30%軽減し、二重天井に近い静音効果を実現します 。

5) 防火性・風圧耐力
鋼板自体が不燃素材であり、耐風圧等級(T1~T3)をクリア。
火災や突風・台風などの自然災害時にも安心です。


デメリット:知っておきたい注意点

石粒付きジンカリウム鋼板屋根には多くのメリットがありますが、導入前には以下のデメリットも押さえておきましょう。

デメリット解説
初期費用が高い石粒コーティングや特殊めっき層によるコスト上乗せで、約7,500〜9,000円/㎡(材工共)となり、
素地ガルバリウム鋼板の6,000〜7,000円/㎡より高額に
施工品質への依存コーティングやめっき層保護のため、
下地透湿シート/クリップ配置/切断面タッチアップなどを厳守しないと、剥離や雨漏りリスクが増大
石粒の剥離・チッピング大型の雹(ひょう)や飛来物衝撃で石粒が剥がれ、部分補修が難しく
「小さな傷→放置」で劣化が拡大しやすい
再塗装・補修の難しさ「塗り替え不要」が魅力だが傷が付いた場合は
専用補修材での施工が必要。DIYでは対応困難
熱伸縮による微クラック金属特有の熱膨張・収縮で、重ね代やビス周辺に
微細なクラックが生じることがある。気温差が大きい地域では要注意
リサイクル性の課題石粒コーティングを剥がしてリサイクルするには手間とコストがかかり、
廃材処理のハードルがやや高い

これらのポイントを踏まえ、施工仕様書どおりの施工管理ができる信頼ある業者に依頼することが、長期的な安心・安全を得るためのカギです。


メンテナンス“ほぼ”不要の科学的根拠

「塗装不要」と言い切るには理由があります。

自己修復型めっき層

めっき層の主成分である亜鉛(Zn)は犠牲防食作用を発揮。
傷や露出部から腐食すると、自身が酸化亜鉛として表面を覆い、鋼板本体への進行を食い止めます 。

石粒コーティングのガラス質化

自然石粒を釉薬のように焼き付けることで、以下の特性をもちます。実験では5000時間の塩水噴霧試験でも目立つ腐食は観察されませんでした 。

  • 紫外線UVA・UVBをほぼ100%カット
  • 耐摩耗性が塗料の約2倍
  • 酸性雨・塩害に強い

● 目視点検の推奨

それでも製品寿命の半分を過ぎた15〜20年目には、

  1. 高圧洗浄で石粒剥離の有無
  2. ビス頭や重ね代のコーキング劣化点検
    を行うと、安心してさらに10年を延命できます。

施工時のポイント

性能を最大限引き出すには「施工仕様」の厳守が不可欠です。

  1. 下地透湿防水シート
    吸湿性・透湿性に優れる「タイベックⓇ」などを採用し、屋根裏の結露を防止。
  2. 専用クリップ&ビス
    ビス間隔は300〜400mm、クリップの種類や固定向きもマニュアル通りに。
    不適切な留め付けは剥がれ・雨漏りリスクに直結。
  3. 切断面タッチアップ
    カット部は露出金属が腐食しやすいため、専用防錆塗料で必ず保護。
  4. オーバーラップ(重ね幅)
    100〜150mmを確実に保持し、水切れ性能を確保。
    ブランドごとに微調整があるため、必ず仕様書に従うこと。
  5. 温度伸縮許容クリアランス
    金属は温度差で最大±5mm程度伸縮します。
    伸縮用クリアランスや専用ジョイントを用意し、クラックを防止。

コスト比較:石粒付きジンカリウム vs 素地ガルバリウム

スクロールできます
屋根材初期価格(材工共)メンテ費用30年ライフコスト(100㎡想定)
石粒付きジンカリウム鋼板7,500〜9,000円/㎡0円約75万円
素地ガルバリウム鋼板6,000〜7,000円/㎡10〜15年毎に約30万円約100万円
  • 初期投資は1.2〜1.5倍だが、
  • 再塗装・補修コストをゼロにできるため長期的に1/3以下のコストに抑制可能。

適した屋根形状と地域条件

  1. 屋根勾配:3.5寸(約19°)以上で標準施工。低勾配の場合は防水仕様をアップグレード。
  2. 気候区分
    • 沿岸部:塩害対策グレード+厚めのコーティングを選定。
    • 豪雪地帯:重ね幅拡大+ビス本数増加で積雪荷重を分散。
  3. 断熱下葺材:断熱性能を求める場合は、下葺材として「ポリスチレン系断熱層付きシート」を併用。
  4. デザイン選択
    • ダークカラー :遮熱石粒で室内温度上昇を抑制。
    • ライトカラー:雪や落ち葉の目立ちにくさ、清掃頻度の低減。

まとめ:ジンカリウム鋼板屋根が選ばれる理由

石粒コーティング+亜鉛・アルミ合金めっきで、“ほぼメンテナンス不要”を実現した屋根材。ガルバリウム鋼板と同じ素材ながら、塗り替えサイクルをゼロに近づけ、長期的なコストと手間を大幅に軽減します。

ポイント

同一素材・商標の違い:ガルバリウム鋼板と成分は同じ。石粒塗装があるかないかだけの差。
30年無塗装保証:石粒コートで紫外線・摩耗をガードし、再塗装費用を削減。
自己修復のめっき層:小さな傷は酸化亜鉛が自動補修。腐食を防ぎ長寿命を支える。
施工品質が前提:下地シートやクリップ位置、切断面処理など、仕様厳守で性能を発揮。
トータルコスト優位:初期費用は高めでも、30年で約25万円以上の節約効果。

今こそ、塗り替えゼロの安心を――石粒ジンカリウム鋼板屋根を検討してみませんか?


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次