「突然訪れた業者から『屋根が危険な状態』『外壁が剥がれそう』などと脅され、高額な工事を契約してしまった……」「“カバー工法”なら安く早くできると聞いたのに、実は相場よりもずっと高かった」
こうした修繕詐欺(リフォーム詐欺)は近年増加傾向にあり、高齢者や一人暮らしの方を中心に被害が多発しています。もし間違った契約をしてしまえば、大切な家がむしろ傷つけられたり、想定外の多額な費用が発生するなど、金銭的・精神的に大きなダメージを受ける恐れがあります。
本記事では、公的機関の統計データや被害事例をもとに、戸建住宅の修繕詐欺の巧妙な手口を紐解きます。
また、被害に遭わないための具体的な予防策と、万が一トラブルになった場合の対処法を詳しく解説。
安心して住宅を修繕・リフォームできるよう、ぜひご覧ください。
いきなり訪問してくる知らない業者には要注意です!!
修繕詐欺・悪徳業者の具体的な手口
点検詐欺
「無料点検」を装って訪問し、「屋根が崩れそうだ」「シロアリ被害が進んでいる」など、事実ではない内容で不安を煽り、高額な修繕契約を結ばせる手口があります。
a. 屋根の無料点検を装う詐欺
「雨漏りの可能性がある」や「瓦がずれて危険」と説明し、事前に用意した劣化した瓦や屋根材の写真を示して脅します。実際には問題のない屋根にわざと傷をつけるケースも確認されています。
- 例: 「このままだと、次の台風で屋根が全部吹き飛ぶかもしれませんよ」
「近隣の家でも同じ問題が見つかりました。早めの対応をおすすめします」
b. シロアリ被害の捏造
床下を調査し、無関係な写真や映像を使って「シロアリの被害がひどい」と騙します。事前に用意した木片を見せて「この状態になっています」と嘘をつく事例もあります。
- 例:「床がこのままだと抜ける可能性があります。大至急対応が必要です」
c. 外壁塗装の強引な勧誘
外壁の「汚れ」や「ひび割れ」を指摘し、「早急な補修が必要」と騙します。実際に劣化していない箇所に傷をつけて脅す業者も存在します。
- 例:「外壁のヒビが雨水を吸収して、家の基礎が腐る恐れがあります」
d. 災害を口実にした詐欺
台風や地震の後に「災害被害が出ている可能性が高い」として訪問。虚偽の修理提案で高額契約を結ばせます。
・例:「自然災害保険を適用して無料で修理できます。ただし、急がないと期限が切れます」
一式費用詐欺
見積書に「屋根修繕一式 80万円」などと書き、工事内容や材料費の内訳を曖昧にすることで、実際の工事費用が相場より大幅に高額になる手口です。
高額契約の強制
点検後に「このままでは住めなくなる」と恐怖を煽り、その場で契約を迫る。さらに、値引き条件として即日契約を求めるケースもあります。
火災保険利用詐欺
「火災保険を使えば実質無料で補修ができる」と勧誘し、不必要な工事を提案したり、高額な手数料を請求されるケースもあります。保険金を請求すること自体は合法ですが、それを悪用する業者が増えています。
詐欺被害に遭わないための予防策
訪問業者への対応
- 突然訪問してきた業者を受け入れない。
- 修繕が必要だと感じたら、自ら評判の良い業者を探す。
見積書のチェックポイント
- 明細が細かく記載されているか。
- 材料費、作業費、諸経費の項目ごとに金額が明示されているか。
- 「一式費用」という曖昧な表記がないか。
信頼できる業者を選ぶ
- ホームページに具体的な施工事例が記載されているか。
- 有資格者(建築士や施工管理技士)が所属しているか。
- 口コミやレビューを複数参照する。
消費者庁や公的機関の活用
- 「消費者ホットライン(188)」や「住まいるダイヤル」で相談する。
トラブル発生時の対処法
- クーリング・オフの活用:契約後8日以内なら無条件解除が可能(訪問販売の場合)
- 専門家に相談:消費者センターや弁護士へ
- 証拠を集める:契約書、見積書、やり取りの録音など
- 法的措置:特定商取引法違反で行政処分や裁判を検討
闇バイトを使った強盗にも注意
修繕を口実に住民を油断させ、家の内部に侵入して犯罪行為を行う手口が問題視されています。
以下の具体例を挙げます。
無料点検を装う訪問
「無料で点検します」といった甘い言葉で住民の信頼を得て敷地や家の内部に侵入します。点検と称して住まいの構造や防犯設備を確認するケースもあります。これは実際に詐欺や強盗の下見に利用される場合があり注意が必要です。
家族構成を探る雑談
特に高齢者を対象に、何度も訪問して警戒心を解き、「家族は同居しているか」「日中家にいることが多いか」などをさりげなく聞き出します。この情報を基に、狙いやすい時間帯を特定されることがあります。
強盗団による侵入計画
闇バイトを利用した強盗団が、住人が在宅しているタイミングを狙い、訪問者を装って強盗行為を実行する事件も発生しています。訪問業者に見せかけることで不意を突き、家に押し入るという悪質な方法が取られています。
まとめ
戸建住宅の修繕詐欺(リフォーム詐欺)被害は、訪問販売や点検商法などで高齢者を中心に多発し、巧妙化しています。被害に遭うと過大な金銭的負担や住宅の劣化を招き、資産価値の低下にもつながります。
被害を防ぐポイントは、
- 複数社での相見積もりで相場感を把握
- 契約書の内容をよく読み、不安を煽られても即決しない
- 悪質業者がよく使う手口を知っておく
- クーリング・オフや消費者センターなど公的機関への相談を積極的に行う
しっかりとした業者選びを行い、工法や材料の説明を納得いくまで聞くことで、詐欺被害を回避できるでしょう。
大切な住まいを守るために、ぜひ本記事の内容を参考に、信頼できる業者と正しい契約を結び、安全・適正価格で修繕・リフォームを実施してください。住宅修繕詐欺は、家主の知識不足を悪用する悪質な犯罪です。突然の訪問業者には警戒し、見積書や業者の信頼性を必ず確認しましょう。また、疑問があれば消費者庁や専門機関に相談することをお勧めします。「自分の家を守る」ために、正しい知識を持ちましょう。
参考リンク
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